シバ『ヂ・バイリ・ソルト』|SIBA『DE BAILE SOLTO』(IND-SIBADEBAI)_LNTBR_
シバ『ヂ・バイリ・ソルト』|SIBA『DE BAILE SOLTO』(IND-SIBADEBAI)_LNTBR_
シバ『ヂ・バイリ・ソルト』|SIBA『DE BAILE SOLTO』(IND-SIBADEBAI)_LNTBR_
¥2,640
◆レーベル:INDEPENDENTE
◇シバの代名詞でもあるペルナンブコ音楽に留まらずアフリカ音楽まで
◇
1. Marcha Macia 2. Gavião 3. Mel Tamarindo 4. Três Desenhos (Nascente e o Resto) 5. Três Carmelitas 6. Quem e Ninguém 7. De Baile Solto 8. A Jarra e a Aranha 9. O Inimigo Dorme 10. Meu Balão Vai Voar
◇元メストリ・アンブロージオ、の肩書きも今や不要だろう、前作『アヴァンチ』の都会的な装いから一転、マラカトゥ・ヂ・バキ・ソウト=マラカトゥ・フラウの戦士、カボクロ・ヂ・ランサ姿で正面を見据えるシバの、ソロでは二作目、コラボ作、バンド名義を含めれば、すでに6作目。前作に続き、ドラムとベース代わりのチューバを従えたエレキギター系の小編成が主体だが、ヴィブラフォンと鍵盤のアントニオ・ロウレイロがドラムへ異動(彼のヴィブラフォンとバンドの幾何学的な絡みは④で聴ける)、パーカッションが加わって、エクスペリメンタルで構築的だった「オルタナ室内楽」風のアンサンブルが、より「バンド」然としたグルーヴに変貌した。浮遊感のあるリンガラ風ギターも目立ち、彼の代名詞でもあるシランダ、バキ・ソウト、フレーヴォといったペルナンブーコ音楽に留まらず、アフリカ音楽まで飲み込んでいる。
月刊ラティーナ2015年10月号掲載(松澤正宏)
「シバ・ヴェローゾ、2枚目のソロアルバムをリリース」(ブラジル●岸和田 仁/2015年7月号海外ニュースより)
1992年に結成されたポスト・マンギビート6人組軍団メストリ・アンブロージオは、2002年と2003年の二回来日し、心地よいメストリ旋風を引き起こして去って行ったのは多くの人の記憶に新しいが、正式な解散声明がないまま、2003年に実質解散してしまった。
そのヴォーカルだったシバ・ヴェローゾがソロ活動の成果をまとめた第一弾が、2012年1月にリリースした『アヴァンチ』だったが、このほど第二弾の『ヂ・バイレ・ソルト』を発表した。音楽としての評価はもちろんだが、歌詞に織り込まれた、社会的不正義を批判する政治性が話題となっている。
地元紙のインタビューにおいて、「僕はマタ・ノルチ(レシーフェから北に数十キロの農村地域)で育てられたアーティストだ。今日まで僕がやってきたことは、全てマタ・ノルチに繋がっている。ハベッカ(素朴型バイオリン)はカヴァロマリーニョ(マラカトゥの舞踊音楽)のベースだし、僕が口承文化の詩的インスピレーションを得るのもマラカトゥの実践経験があるからだ。辺境化された大衆文化だからこそ、強烈にパワフルかつダイナミックで、リッチにしてコンテンポラリーなんだ。クリエイティブにして美的かつ社会的なポテンシャリティーの世界がマラカトゥの実体験を通じて繋がってくるんだ。」と熱弁をふるうシバは、2001年から2005年にかけて、レシーフェから北西70kmのところに位置するナザレ・ダ・マタの住民となって、地元音楽バンド、フロレスタ・ド・サンバと協働の音楽活動「ムジカ・ド・ブラジル」を展開していた。
共同アルバム第一作「フロレスタ・ド・サンバ」をリリースしたのが2002年、シランダ、マラカトゥといったノルデスチ伝統芸能を尊重しつつ、大衆吟遊詩人の口承文芸を大胆に取り入れた試みだった。二作目は2008年9月に発表したが、その後彼の活動(&居住)場所はサンパウロ主体となっていった。
そんな経緯を経てシバがソロ活動の成果を発表することになったのが2012年1月で、今回がソロ二作目というわけだ。2012年の時は、レシーフェ旧市街のモエダ通り(シコ・サイエンス立像がある通り)に設営されたオープン会場でライブが行われたが、今回は、公式サイト(http://www.mundosiba.com.br/)にアクセスすれば、5月13日から無料でダウンロードできる、という型破りのリリースだ。以前「地方主義から離れている」と語ったシバだが、また“地方”に回帰して、都市消費主義を静かに糾弾している、とみるべきだろうか、なんとも示唆的である。
◇シバの代名詞でもあるペルナンブコ音楽に留まらずアフリカ音楽まで
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1. Marcha Macia 2. Gavião 3. Mel Tamarindo 4. Três Desenhos (Nascente e o Resto) 5. Três Carmelitas 6. Quem e Ninguém 7. De Baile Solto 8. A Jarra e a Aranha 9. O Inimigo Dorme 10. Meu Balão Vai Voar
◇元メストリ・アンブロージオ、の肩書きも今や不要だろう、前作『アヴァンチ』の都会的な装いから一転、マラカトゥ・ヂ・バキ・ソウト=マラカトゥ・フラウの戦士、カボクロ・ヂ・ランサ姿で正面を見据えるシバの、ソロでは二作目、コラボ作、バンド名義を含めれば、すでに6作目。前作に続き、ドラムとベース代わりのチューバを従えたエレキギター系の小編成が主体だが、ヴィブラフォンと鍵盤のアントニオ・ロウレイロがドラムへ異動(彼のヴィブラフォンとバンドの幾何学的な絡みは④で聴ける)、パーカッションが加わって、エクスペリメンタルで構築的だった「オルタナ室内楽」風のアンサンブルが、より「バンド」然としたグルーヴに変貌した。浮遊感のあるリンガラ風ギターも目立ち、彼の代名詞でもあるシランダ、バキ・ソウト、フレーヴォといったペルナンブーコ音楽に留まらず、アフリカ音楽まで飲み込んでいる。
月刊ラティーナ2015年10月号掲載(松澤正宏)
「シバ・ヴェローゾ、2枚目のソロアルバムをリリース」(ブラジル●岸和田 仁/2015年7月号海外ニュースより)
1992年に結成されたポスト・マンギビート6人組軍団メストリ・アンブロージオは、2002年と2003年の二回来日し、心地よいメストリ旋風を引き起こして去って行ったのは多くの人の記憶に新しいが、正式な解散声明がないまま、2003年に実質解散してしまった。
そのヴォーカルだったシバ・ヴェローゾがソロ活動の成果をまとめた第一弾が、2012年1月にリリースした『アヴァンチ』だったが、このほど第二弾の『ヂ・バイレ・ソルト』を発表した。音楽としての評価はもちろんだが、歌詞に織り込まれた、社会的不正義を批判する政治性が話題となっている。
地元紙のインタビューにおいて、「僕はマタ・ノルチ(レシーフェから北に数十キロの農村地域)で育てられたアーティストだ。今日まで僕がやってきたことは、全てマタ・ノルチに繋がっている。ハベッカ(素朴型バイオリン)はカヴァロマリーニョ(マラカトゥの舞踊音楽)のベースだし、僕が口承文化の詩的インスピレーションを得るのもマラカトゥの実践経験があるからだ。辺境化された大衆文化だからこそ、強烈にパワフルかつダイナミックで、リッチにしてコンテンポラリーなんだ。クリエイティブにして美的かつ社会的なポテンシャリティーの世界がマラカトゥの実体験を通じて繋がってくるんだ。」と熱弁をふるうシバは、2001年から2005年にかけて、レシーフェから北西70kmのところに位置するナザレ・ダ・マタの住民となって、地元音楽バンド、フロレスタ・ド・サンバと協働の音楽活動「ムジカ・ド・ブラジル」を展開していた。
共同アルバム第一作「フロレスタ・ド・サンバ」をリリースしたのが2002年、シランダ、マラカトゥといったノルデスチ伝統芸能を尊重しつつ、大衆吟遊詩人の口承文芸を大胆に取り入れた試みだった。二作目は2008年9月に発表したが、その後彼の活動(&居住)場所はサンパウロ主体となっていった。
そんな経緯を経てシバがソロ活動の成果を発表することになったのが2012年1月で、今回がソロ二作目というわけだ。2012年の時は、レシーフェ旧市街のモエダ通り(シコ・サイエンス立像がある通り)に設営されたオープン会場でライブが行われたが、今回は、公式サイト(http://www.mundosiba.com.br/)にアクセスすれば、5月13日から無料でダウンロードできる、という型破りのリリースだ。以前「地方主義から離れている」と語ったシバだが、また“地方”に回帰して、都市消費主義を静かに糾弾している、とみるべきだろうか、なんとも示唆的である。