ヴィオラォン、カヴァキーニョ、バンドリン、パーカッション×2に、男性メイン・ヴォーカル二人からなるサンバ・クインテット、カズアリーナの最新ライブ作。ラパ地区を根城に次々登場する新世代サンビスタ群のなかでも、頭ひとつ飛びぬけた存在感を感じさせる充実作だ。戦前生まれの長老たちによるサンバを好んで取り上げ、オールド・サンバへと真っ直ぐに憧憬を捧げたさまが新鮮だったわけだが、その反面、やや優等生的すぎる印象もあったデビュー時に較べて、一本筋が通ってきた。オリジナルを含むレパートリーの幅が広がることで、過去の時代の世界観に左右されることのない、このグループならではのサンバが聴けるのは嬉しいかぎり。プロデュースはホベルタ・サーで名を上げたホドリーゴ・カンペーロで、控えめながらも随所に小技の利いたアレンジが、パゴーヂとはまた違ったポップな感触をもたらしている。ウィルソン・モレイラ、ホベルト・シルヴァ、モスカ、モイーニョ等が参加。（月刊ラティーナ2010年1月号掲載 成田佳洋）

【21世紀のブラジル音楽100選　宿口 豪さん選出】
ブラジル音楽って言ったら、まずはやっぱりサンバですよ。リオのサンバ復興運動の聖地、ラパを代表する5人組・カズアリーナのライヴ盤です。ちょっと育ちの良さそうな兄ちゃんたちが、圧倒的な演奏力をベースに、歌心のあるオリジナル楽曲＆先人へのリスペクトを感じるカバー曲を次々と演奏していきます。完璧なコーラス・ワーク、バンドリン、7弦ギターの音色がクラシカルな印象を残しつつも、気取った雰囲気は全く感じません。シャツにジーンズ、普段着感覚のフレンドリーな都会っ子のサンバ。是非DVDで観てください。ステージを囲むように作られた観客席には一心不乱に踊る女の子、甘い曲をバックに熱いキスをしているカップル、バカ騒ぎしてる若者、もうみんな笑顔！ ラパの、リオのナイトシーンの楽しさが映像からドカーンと伝わってきます。

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