タンゴ・エン・トレス『アブリエンド・エル・フエゴ』|TANGO EN TRES『ABRIENDO EL JUEGO』(IND-TET001)_QTAR_
タンゴ・エン・トレス『アブリエンド・エル・フエゴ』|TANGO EN TRES『ABRIENDO EL JUEGO』(IND-TET001)_QTAR_
タンゴ・エン・トレス『アブリエンド・エル・フエゴ』|TANGO EN TRES『ABRIENDO EL JUEGO』(IND-TET001)_QTAR_
¥2,420
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◇●曲目
①夜更かし
②ソニコ
③去りゆく者へのレクイエム
④ロビーラへ捧ぐ
⑤デカロロヒア
⑥子どもたちのロンダ
⑦口笛を吹きながら
⑧3タイプ、ビエン・ミロンガ
⑨ピチュコ(…とある青色のタンゴ)
⑩マベルとかつらのためのミロンガ
⑪ロビーラ・セレクション
⑫タンゴ・エン・ネグロ
●演奏:フリアン・グラシアーノ(g)、サンティアゴ・アルバレス(cb)、マルセロ・コセレス(dr)
◇ 本誌2011年11月号「21世紀のタンゴ・マエストロたち」で紹介されていたタンゴ・エン・トレス。2006年結成の彼らは、7弦ギター奏者フリアン・グラシアーノをリーダー/作編曲家としたギター・トリオであり、いままで自主制作したアルバムがこの2枚である。
西村さんのインタビュー記事では「エッセンスはあくまでタンゴ」と言い切っており、確かに傾倒しているエドゥアルド・ロビーラだけでなく、例えば『アブリエンド〜』収録の⑦あたりには作オラシオ・サルガン〜アストル・ピアソラへの親近性も感じる。だが、例えばiTuneやmyspaceで確認するジャンルはジャズであるわけだから、このバンドのサウンドの立ち位置がどこにあるかは容易に解るはずだ。ざっくり言えばコントラバスはタンゴ、アルコ。ドラムスはリズム・キープと言うよりはパーカッション的な装飾を担い、全メロディーを受け持つ7弦のエレキ・ギターは往年のジャズ・ギター。アルバム全体を覆う耽美なフィーリングはピアソラ・キンテートの「コラール」を、単音のピッキングにはタル・ファーロウ〜ロドルフォ・アルチョウロンを思わせるものがある、と私は思う。
2枚を比較すると、基本路線は変わらないが、ギター重視でよりジャジー、尖鋭的なファースト『アブリエンド〜』、バンドとしての演奏の自由度が高まり、表現のダイナミズムが深まったセカンド『レガード』と言えそうだ。『アブリエンド〜』はなんといってもロビーラへのオマージュが骨格となっており、タイトルを拾ってみるだけでも②④⑩⑪といった具合だ。『レガード』で印象的なのはバンドネオンを入れてしまった?④、タイトルにハバナを冠し、ワヘーオを大胆に取り入れた⑧、弦楽四重奏を交えた⑪。多様性は増したが、いわゆるタンゴらしさも増しており、相対的にオーソドックスに聴こえてくる。
月刊ラティーナ2012年1月号掲載(山本幸洋)
①夜更かし
②ソニコ
③去りゆく者へのレクイエム
④ロビーラへ捧ぐ
⑤デカロロヒア
⑥子どもたちのロンダ
⑦口笛を吹きながら
⑧3タイプ、ビエン・ミロンガ
⑨ピチュコ(…とある青色のタンゴ)
⑩マベルとかつらのためのミロンガ
⑪ロビーラ・セレクション
⑫タンゴ・エン・ネグロ
●演奏:フリアン・グラシアーノ(g)、サンティアゴ・アルバレス(cb)、マルセロ・コセレス(dr)
◇ 本誌2011年11月号「21世紀のタンゴ・マエストロたち」で紹介されていたタンゴ・エン・トレス。2006年結成の彼らは、7弦ギター奏者フリアン・グラシアーノをリーダー/作編曲家としたギター・トリオであり、いままで自主制作したアルバムがこの2枚である。
西村さんのインタビュー記事では「エッセンスはあくまでタンゴ」と言い切っており、確かに傾倒しているエドゥアルド・ロビーラだけでなく、例えば『アブリエンド〜』収録の⑦あたりには作オラシオ・サルガン〜アストル・ピアソラへの親近性も感じる。だが、例えばiTuneやmyspaceで確認するジャンルはジャズであるわけだから、このバンドのサウンドの立ち位置がどこにあるかは容易に解るはずだ。ざっくり言えばコントラバスはタンゴ、アルコ。ドラムスはリズム・キープと言うよりはパーカッション的な装飾を担い、全メロディーを受け持つ7弦のエレキ・ギターは往年のジャズ・ギター。アルバム全体を覆う耽美なフィーリングはピアソラ・キンテートの「コラール」を、単音のピッキングにはタル・ファーロウ〜ロドルフォ・アルチョウロンを思わせるものがある、と私は思う。
2枚を比較すると、基本路線は変わらないが、ギター重視でよりジャジー、尖鋭的なファースト『アブリエンド〜』、バンドとしての演奏の自由度が高まり、表現のダイナミズムが深まったセカンド『レガード』と言えそうだ。『アブリエンド〜』はなんといってもロビーラへのオマージュが骨格となっており、タイトルを拾ってみるだけでも②④⑩⑪といった具合だ。『レガード』で印象的なのはバンドネオンを入れてしまった?④、タイトルにハバナを冠し、ワヘーオを大胆に取り入れた⑧、弦楽四重奏を交えた⑪。多様性は増したが、いわゆるタンゴらしさも増しており、相対的にオーソドックスに聴こえてくる。
月刊ラティーナ2012年1月号掲載(山本幸洋)